
和歌山県串本にある無量寺別院、應擧盧雪館にある襖絵「虎図」。
「虎図」は、葛飾北斎にも若冲にもあり、なぜにこの「虎図」かといえば、なにも猫科というばかりではない、虎にしてこれは猫であるからなのである。
元々魚と名乗っていた絵師長澤盧雪が猫を見ていたら虎のように見えた、そうであってそれだけではない。
実はこの襖絵の解題は、この裏に描かれた「薔薇図」と題された襖絵にある。
そこには川辺に憩う猫がいて、魚を狙うかの仔猫がいるのである。魚の身になってこの仔猫を見たならば……獰猛な、いかにも今にも跳びかからんばかりの「虎図」となったという、円山應擧の一番弟子、長澤盧雪の名品!
この躍動感、敏捷さ、ふだんはおとなしく丸くなっているような印象の猫が、いったん闘いの風情を見せるとこんな勇壮な姿となる、そんな生き生きとした<猫図>がこれ。それとわかると、この虎は胴の細さが異様に目立つ。尻尾もまた長い。跳びかかられるお魚としては、顔はさらに大きい。
そう、落款に魚の文字を印した長澤盧雪の、心からなる魚の心象こそ、このいたずら心溢れる「虎図」というわけでしょう。WAO!
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